Monochrome and Colorful days

無彩色で極彩色な日常あれこれ

人間の強さと弱さの片鱗 - 永遠の0




百田尚樹著:永遠の0 を読んだ.
夏休みといえば終戦だよねということで,本屋さんで平積みになっていたことも手伝い購入.
0って何だと思っていたら,零戦の零だった.
もしかして,百死零生の零も絡んでるんだろうか.


話の内容は,現代に生きるフリーターが最近まで知らなかった自分の本当の祖父について,
ライターである姉と共に調べるという話.
祖父は主人公の母に会うこともなく特攻で死んだらしい,と.
だから当時の祖父を知る人に,祖父の話を聞いていくというストーリーで.


主人公の祖父,宮部久蔵を知る人の話は,漏れなく宮部久蔵の辿ってきた戦争の歴史の一旦であり一側面であり,また,その人の経験した戦争の一部分である.
色々な人の目から見た,宮部久蔵の物語と戦争の歴史.
それがすごく細密に深く書かれていて,読んでいて引き込まれる.
てゆーか読んでて引き込まれすぎて読むのやめられませんでした.
自分が知らなかった実際の戦争の話もあって,歴史を知る意味でもすごく興味深かった.
なんてゆーか,自分もじーちゃんが死ぬ前にもっと話し聞かせてもらってればよかった.


ネタバレになるとあれなんで詳細は割愛させていただきますが.
「生きる」ということについて考えさせられた.
戦争中に,生に執着することは,死を覚悟するよりもある意味勇気が必要となることで.
戦争の空気に馴染んだ方が,きっと多勢に従うから生きやすいんだろう.たとえ死ぬとしても.
そんな中で「死にたくない」と言える人間の強さと,そして弱さを見た気がした.
まぁ飛行機の中で読んでいて,気付いたら泣いていました.
そんな本.
すごく面白かった.
あまりに面白かったんで人に貸してみたら,
「帝国主義は嫌いだけど愛国主義まで否定するのは違うって常々思ってたけど,その違いがちょっとわかった気がした」
って言ってた.うまいこと言うなぁと思った.


現代の日本は,帝国主義と愛国主義を(意図的にかもしれないけど)ごっちゃにして纏めて否定している気がしてならないけれど.
実際,そうじゃないよね.
マスコミに対する批判めいたことも軽く書かれていたけれど,その主張は正しいと思う.
少なくとも特攻隊で亡くなった人と自爆テロをやる人は違う.


なんか色々考えさせられて,そしてすごく面白い本でした.
あと全然関係ないけど,同じ日にもう一冊有川浩の「阪急電車」って本買ったんですけれども.
何も考えずに買ったのに,「永遠の0」も「阪急電車」も解説が児玉清だったよ.
アタックチャンスの人,本の守備範囲広いねぇ.
そんな感じで,夏くらい戦争の歴史を振り返るのもいいなぁと思いました.
あと零戦開発の話に個人的に感動した.(ほとんど書いてなかったけど)
航空後進国だった日本が,当時の世界最高性能となる戦闘機を作るって.技術者的に憧れます.


Link: http://royallibrary.sakura.ne.jp/ww2/ (第二次世界大戦資料館)
Link: http://groups.yahoo.co.jp/group/tsuburaya/links/kamikaze_001075034929/ (特別攻撃隊関連リンク集)
Link...じゃないけど,吉村昭著:零式戦闘機 現在読書中ですが熱いです.